英語のリスニングが苦手な人が意識したいたった一つのこと
リスニングってくそ難しいですよね。もう嫌になるくらい。
リスニングができるようになるための要素
まず、前提として、「高校生という時期に、1年間英語圏で生活していた」というバックグラウンドがあるので、スタート地点とか色々違うかもしれません。
よく
「リスニングってどうやったらできるようになりますか?」
「リスニングの中でも特に重要な要素ってなんですか?」
というマジカルクエスチョンをされるのですが、が答えとしては、
「文法/語彙/発音/背景知識/経験値などいろんな要素が複合的に絡まっているので、全部包括的に勉強してください。基本的に英語の習得プロセスは属人的なもので、これを読めばTOEIC◯◯点up!的な魔法ルートはないです。強いて言えばいろんな勉強法を試して、自分なりの近道を見つけ出すことが一番の近道です」
という、儚くもドリームブレイキングかつ一休さん的な答えになってしまいます。
「野球ってどうやったらできるようになるますか?」
「野球の中でも特に重要な要素ってなんですか?」
て質問と同じで、
「キャッチボール、守備練、素振りの3つをやることが一番の近道です」とか高校球児の根性論チックな「素振りが一番大事です!」的な答えって意味をなさないじゃないですか。
いろんな練習が必要で、これが一番大事みたいなものはないし、どういうプレイヤーになりたいのかとか、どれくらいのレベルを目指すのか、みたいな理想によって取るべき戦略も全然変わってきます、みたいな感じじゃないですか。
みんなスポーツに打ち込んだり、いろんなものを今まで自分なりに習得してきたはずなのに、かたや、英語になると、巷に溢れるアフィリ商材のせいか、謎の魔法ルートに期待してしまう。なんでだろう。
まぁこんなことをダラダラと書いて、しがない英語教師のブログみたいな感じになるのだけは勘弁なので、僕なりに「リスニングで一番重要なことってなんだろう」という質問に至極真面目に向き合ってみました。
現役コンサルタントの考える「リスニングができない人」に共通するたった一つの特徴
僕の好きなOutward Matrixというブログを運営している、Shinさんというバリバリ英語で仕事をこなす、現役コンサルタントの方がこんな記事を書いていました。
リスニングができない人は、「何としてでも相手のことをわかろうとする覚悟」が足りないんだと。なるほどな、と。
これに関しては僕もその通りだと思います。
今でしょの林先生があるテレビで、
「僕は昔から本を読むのは好きだったが、教科書に出てくる難しく書かれた訳のわからない文章は好きではなかった。ただ、難しいことを悶々と考えてる人が、"どうかおれのことをわかってくれ!""おれはこんなことを考えてるんだ、どう思う?"と必死で自己表現しようとしてるんだから、それを「わからない」と突っぱねるのではなく、理解しようとしてみよう、と思い始めてから好きになっていった、おもしろくなっていった。」
的なことを話していたのを覚えています。
現代文にも英語にも共通するように、「訳のわからない言語で、訳のわからない文法と語彙を駆使して何かを伝えようとしてくる」状況に対して、「よしわかった、聞かせてくれ、死ぬ気で聞き取ってやろう」という相手への覚悟を持つことは、英語のレベルに関係ない必須条件だと思っています。
僕自身も、1年留学したただけで、ネイティブの耳には程遠いので、相手に興味をもって、理解しようとしてる時と、テキトーに受け流してる時とで、理解レベルには雲泥の差があります。
それでも理解なんてできないもの
とはいえ、覚悟を持つだけじゃ理解できないですよね。
「相手のことを死ぬ気でわかろうとする覚悟」ていうのは、別に根性論でもなんでもなく、まあないことはないんですが、コミュニケーションをちゃんと取るための最低条件的なマインドセットであって、意外と忘れている人が多く、非常に重要なポイントだと思っています。
ただ、
何を聞き取ろうとすればいいの?
何をわかろうとする覚悟が必要なの?
って部分があまり書かれていなかったので、切り込んで言及してみたいと思います。
会話の文脈を死ぬ気で汲み取る力
結論としては、「会話の文脈を死ぬ気で汲み取って、何とか聞き取れた複数の単語と文脈を組み合わせることで、最大公約数的なものを見つけ出す」ということになります。
意味わからんですよね。
会話の文脈ってなんでしょうか。
Shinさんのブログでは
単純に言葉の表面だけでなく、何を思ってその人がその発言をしているのか、その裏側に隠れたその人のPreferenceは何か
と書かれていますね。
もうちょい深掘ると、以下の3要素に分解されます。
- 場面の文脈
- 相手の文脈
- 自分の文脈
それぞれ簡単に説明していきます。
場面の文脈
場面の文脈(ここでは場面のコンテキストと言います)とは、会話しているシチュエーションを取り巻く情報の組み合わせのことです。例えば、いつ、どこで、何を、誰が、なぜの5W。
ふつーの会話なら無意識化のもと、脳にインプットされているので、特別意識を向ける必要はないかもしれないですが、TOEICなどのテストのリスニングなんかでは、この場面コンテキストの理解がかなり重要なウェイトをしめます。
問題によっては、この場面コンテキストを掴むだけで、解ける問題もあります。
助動詞(would,could,might)の使い方を例に見てみましょう。
- Aさんに比べてBさんの方が明らかに丁寧な助動詞(would,could,might)を使っている場合、受付やレストランなど接客の場面であるケースが多い
- AさんBさんともに丁寧な助動詞を使っている場合は、知らない人同士(もしくは面識少ない)の会話であるケースが多く、観光客と現地客、会社の合同ミーティングなどの場面であるケースが多い
相手の文脈
相手の文脈(コンテキスト)とは、会話している相手を取り巻く情報の組み合わせのことで、先ほどのShinさんの引用に近いです。
単純に言葉の表面だけでなく、何を思ってその人がその発言をしているのか、その裏側に隠れたその人のPreferenceは何か
相手がどんな状況のもと、どんな表情や声色で、ペースで、口調で、どんな意図を持って、その発言をしているのか。その人がどんな価値観や志向性、もっと言えば務める会社や専攻、家庭環境など、その人にまつわる全ての情報を指します。
TOEICなどのテストで、そういったところを理解することはできませんが、状況、表情、声色、ペース、口調、意図などは発言から十分掴めます。
特に、
「Why the boss said...」
「What does he mean by...」
など、発言の意図を問う質問は鉄板です。
上の助動詞の例を改めて用いると・・・
- 助動詞を使っている場合、相手が何かに困っていてお願いをしたい、あまり芳しくない状況にいる、相手に何か提案をしているケースが多い
- would like toよりwanna、be going toよりwillなど、助動詞がカジュアルな動詞になっている場合、急いでいたり、パニクってるなど、何か急務で要件を伝えたいケースが多い
自分の文脈
これは相手の文脈の反対で、自分を取り巻く情報の組み合わせになります。
TOEICなどのテストにおいては、上記の相手のコンテキストと気をつけるポイントは同じになります。
実際の場面での会話に際しては、一番重要な要素になります。
自分の立場(留学生、ビジネスパートナー、部下、クライアント、友達)や、相手/相手と自分が共通して属するコミュニティにおいての自分のポジショニング、普段の自分の発言の傾向や性格/志向性などを理解することで、相手がどんな意図を持って、自分に言葉を投げかけているのか、がよりわかりやすくなります。
最後に
実際の会話においても、TOEICなどの制約条件のあるリスニングにおいても、「会話がなされている文脈、特に、場面・相手・自分の3要素を死ぬ気で汲み取って、何とか聞き取れた複数の単語と文脈を組み合わせることで、最大公約数的なものを見つけ出す」という能力は非常に重要になります。
もっと言えば、日々の日本語のコミュニケーションにおいても重要な要素であり、会話の密度を濃くしてくれる要素でもあります。
どちらかというと、上記の助動詞の例などのスキル的なものというよりは、マインドセットに近い要素であり、マインド→具体的なスキルを学ぶという順番がいいかと思います。
もう少し噛み砕いた細かいリスニングスキル的なものは、また後日改めて記事にします。
んじゃーね。また明日。
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